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囲碁は楽し
最近は、碁を打つ余裕はなくなってしまったが、昔は職場の昼休みなど休憩時間によく打った。囲碁には、忘れられない愉快な思い出がある。
もう15年も昔の話だが、私は自治省で課長をしていた。当時の自治大臣は、今の民主党国会対策委員長の渡部恒三さん。囲碁がお好きで、時折、省内の碁好きの職員を部屋に呼んで碁を打たれていた。 ある時、大臣秘書官から電話があり、初めてお手合わせすることになった。私は大臣室などめったに入ることはなく、相手の実力も分からず、コチコチに緊張して打ち始めた。ところが打ち進めていくと、どう見ても相手の石は隙(すき)だらけだ。思い切って攻撃に出て、相手の大石(たいせき)を取ってしまった。大臣は取られたと悟ると、「アッ」というような声を出されたが、よほど悔しかったとみえて、「よし、もう1番だ」となった。今度は、相手の力は分かっているし、気楽に打ち、またもや大勝した。 すっかりいい気分になって大臣室を出てくると、秘書官が心配そうに「ずいぶん長かったですね」と聞いてきた。「うん、2番打った。2番とも完勝したよ」と答えた途端、「えー。まずいな」と慌てて大臣室に駆け込んでいった。 後で聞くと、謝る秘書官に対し、大臣は「何で君が謝る必要があるんだ。気持ちのいい碁だった」と私をかばってくれたそうだ。さすがは大臣。とは言うものの今にして思えば、あれほどコテンパンにしなくても、特に2局目は多少接戦に持ち込むなど、もう少し上手な勝ち方もあったかなと反省はしている。(渡部さんには許可なく実名を出して昔のことを暴露してしまったが、きっとお許しくださると思う。) この話より数年前、私は札幌市の助役をしており、この時は逆に私の部屋に職員を呼んで碁を打っていた。初対面の職員もいたので、そういう人たちは初めて入る助役室に緊張していた。しかし碁を打ち始めればすぐ打ち解けた。 私が札幌を離任する時、この碁仲間たちは、棋力も年齢も地位もさまざまであったが、全員で寄せ書きした扇子を記念に贈ってくれた。札幌時代の楽しい思い出の一つだ。 横須賀市長 蒲谷亮一
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