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四季折々の花
早春、枯れたように眠っていた植物が一斉に躍動を開始する。固い地面からいつの間にかスイセンの青い芽が顔を出し、木々の枝から小さな新芽が吹き出す。毎年この光景を見るたびに、自然の力強い生命力を感じる。亡き人の命もこのように蘇(よみが)えることがあったらと、つい思ってしまう。
早春の花は、つぼみの方が趣がある。真っ白いつぼみを一斉に同じ方角に向けて勢いよく突き出しているコブシやハクレン、丸い大きな花芽を幹にいっぱいつけたボケ、一カ所から数個の赤いつぼみを垂れ下げているカイドウなど。 サクラが咲くと、いよいよ春本番だ。サクラは、例えばバラのように一つ一つの花が自己主張するわけではなく、無数の花が集まって、全体として息を飲むような美しさをつくる。 サクラが散ると、次はツツジだ。ツツジは緑の中に咲く。花と葉の濃いコントラストが、春も深まってきたことを感じさせる。ツツジを見ると、子どものころの生家の庭を思い出す。大株のオオムラサキが絢爛(けんらん)と咲き誇っていた。父母も若く、祖父母も元気だったあのころの庭にもどる術(すべ)はない。 一番好きな花は、と聞かれると困ってしまう。美しくない花などありはしない。ボタンやシャクナゲが咲き出すと、実に美しいと見とれてしまうし、梅雨に入ってアジサイがきれいになると、この花もいいなあとしみじみ思う。その中でも、ユリ(特にヤマユリ)は特に好きな花の一つだ。地面から太く大きな芽が出て逞(たくま)しく育ち、つぼみがある程度大きくなると自然に下を向く。そのつぼみがますます大きくなって、まさにはちきれんばかりになるころが一番楽しみだ。ユリの花が咲く姿は、清楚(せいそ)で凛(りん)としていて、気持ちがいい。 柿の実が色づき、キンモクセイが香るころになると、亡妻の命日が近づく。 秋の季節、花にも負けず美しいのはモミジの紅葉だ。モミジは、春生まれたての若葉も美しく、成長して散る直前の姿もまたこれほど美しく人を感動させるとは、何と見事なことか。 好きな花や木の名を挙げていけばきりがない。四季折々の美しい日本の自然、すばらしきかな。 横須賀市長 蒲谷亮一
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