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三惚(ぼ)れ
昭和42年に自治省(現総務省)に入省した。自治省は他の省庁と異なり、県や市など地方自治体へ出向する機会が非常に多い。
私の場合も自治省在籍約30年のうち実に3分の2近くの年数は、宮城県庁や札幌市役所など全国各地の地方自治体での勤務だった。 このように地方勤務の多い自治省において、先輩から後輩に教訓として語り継がれている言葉がある。女房に惚れよ、仕事に惚れよ、土地に惚れよ。これを「三惚れ」という。 3つ目の「土地に惚れよ」が肝心だ。いずれ転勤でいなくなるからといって、その土地での生活を一時的な腰掛けのように考えてはいけない、その土地を愛し、そこに骨を埋めるようなつもりで仕事し、生活しなければならない事を諭した教訓である。 私はこれまでの転勤人生で、どこの地方に行っても、この三惚れの教えを大切に守り、実践してきた。こちらがその土地を愛すれば、その土地の人もまた私を愛してくれるようになる。おかげで私はどの地方でも人々に好かれ、楽しく仕事し、生活することができた。いつまでもいてほしいと言われたこともあった。しかし、いつか別れの日がやってくる。いくらその土地を愛しても、しょせん自分の故郷ではない。辞令一本で東京に戻されることになる。 このような転勤人生の末に、ようやく私は生まれ故郷の横須賀に帰ってくることができた。今度こそ本当に、文字通り自分の骨を埋める(墓のある)土地で仕事をすることができる。こんなにうれしいことはない。 これまでの転勤人生では、私の転勤の時期や行き先を決めたのはいつも他人(上司)だった。しかし今回は、自分の進路は私自身が決めた。横須賀市長になりたいと思い、出馬を決意し、そして当選させていただいた。私は横須賀市民の皆様から直接に市長という辞令をいただいた。従って市民の皆様以外は、誰ももう私に他の土地に転勤の辞令を出すことはできない。 私はこれからも「三惚れ」の精神を守り、生まれ故郷の横須賀を愛していきたいと思っている。 |
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